精霊の歌姫と自動人形

オリジナルSF小説

第三章 光あふれる世界へ

第29話 疾走する自動人形 砂漠の中を膨大な砂煙を巻き上げながら、黄金色の残像を残しつつ疾走する二つの影。一人は黒服に赤いネクタイの男性、ブライアン・ブレイズ。もう一人はエプロンドレスをまとった金属製の自動人形セシルだった。 「ブレイズ様の次元…

第二章 パルティア王国の三王女

第16話 迫りくる危機 「きゃああああ!」 シルヴェーヌが悲鳴を上げる。私が差し出したザリガニがそんなに怖かったのだろうか。笑ってしまう。 「ふふふ。成功、成功。良きかな良きかな」 今日のドッキリも成功した。ここは後宮の中にある庭の一つ。池を囲ん…

第一章 遺失兵器と記憶を失った姫君

第1話 父との会話 私の名前が聞こえる。 誰かが私を呼んでいる。 この声は父だ。 『シルヴェーヌ。シルヴェーヌ。私の声が聞こえるかね』『聞こえています』 私は今、何も見えていないし、聞こえていない。勿論、声を出すこともできない。しかし、どういう理…